ポーランドから猫と一緒に日本帰国

帰国して随分経ちました

ご無沙汰しております。2022年7月に日本に帰国してから既に10ヵ月が経ちました。この間海外には一切行っておらず、特に旅行記として書くような国内旅行にも行っておらず。

猫含めうちの一家は元気にしています。結局特に縁もゆかりもないのですが、気温で選び、札幌に引っ越してきました。

かなり遅れてしまったのですがポーランドからペットと一緒に帰国している情報がほとんど見当たらずだったので、どなたかそういった情報を探している方の一助になればと記憶をたどりながら書いて行きたいと思います。

帰国準備

お住まいの国によって勿論準備内容は変わりますが、動物検疫所のページ、内容はわかりやすく記載されているのでまずはこちらの確認が必要です。

www.maff.go.jp

指定地域(オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ等)は農林水産大臣が指定している狂犬病の清浄国・地域のためより手続きが簡単です。ただほとんどの方はそれ以外の指定地域外から帰国されると思いますが、うちの場合もポーランドは指定地域外です。

どの国でも共通しているような事項は省いて、特にポーランドの内容を主に書いて行こうと思います。

帰国が決まったら、まず確認するポイントは以下の通りです。

  1. マイクロチップが入っているか

  2. ペット用EUパスポートの発行(EU圏内)

  3. 狂犬病予防注射の接種と帰国のタイミング

  4. 狂犬病抗体検査

  5. 動物検疫所へ事前届出

  6. どの航空会社にするか、その航空会社のルール

  7. 出国前検査(獣医局および獣医師によるもの)

  8. 当日、空港、機内

それぞれ説明して行こうと思います。

1. マイクロチップ

これはどこにお住まいでも同じような内容だと思いますが、うちの場合、野良猫だったにゃんこ達を保護団体から譲り受けました。そのためもうマイクロチップは猫達の背中あたりに入っており、自分たちで何かするということはありませんでした。ただマイクロチップを入れる以前に狂犬病注射を接種するとそれが有効とみなされるための要件があるので、可能であればマイクロチップを入れた後に接種した方が良いと思います。

マイクロチップ埋め込み前の接種については18ページを参照 https://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/attach/pdf/import-other-41.pdf

マイクロチップは規格が決まっていますが、うちのにゃんこに入っていたものはISO規格でした。(15桁のもの)

2. EUペットパスポート

ポーランドEU圏内のため、EUペットパスポートが存在します。帰国にあたり、EUペットパスポートが必要です。これがないと出国出来ないそうです。

その他の国については存じ上げませんが、ポーランドの場合すべての獣医師さんがEUペットパスポート発行が出来るということではなく、資格を持った人に限られるため、まずかかりつけの獣医さんが資格を持っているか確認が必要です。

また狂犬病注射を接種や抗体検査の結果をパスポートに記入する際に、EUペットパスポートが発行出来る獣医師さんに診てもらう必要があります。

うちの場合には、家から一番近くの獣医さんに通っていましたが、ここでは発行出来ないと言われました。そのため徒歩圏内でいくつか問い合わせた所、あるクリニックでは交代で勤務している3人の内1人の獣医師さんが資格を持っていたため、その後はそこで診てもらいました。

3. 狂犬病予防注射とタイミング

こちらもポーランドに限ったことではありませんが、狂犬病予防注射を2度接種して、抗体検査をしてから180日間の待機期間があるため帰国のタイミングとあわせて余裕を持って接種をすることが必要です。

また後述しますが、ある獣医師の先生から狂犬病予防注射、ワクチンのおすすめを伺ったので記載しておきます。どのワクチンを打つかは勿論個々の判断ですが、参考まで。

ポーランドで入手可能なアジュバントフリーのワクチンであるフランス製のPurevax rabiesがおすすめとのことです。

先生によるとアジュバントという一般に使われている不活化ワクチンに入っている物質が猫においては悪性腫瘍を引き起こす可能性があるため、上記を使えるなら使った方が良いとのことでした。

ただ、実はうちの場合には、狂犬病予防注射を打つ際に上記のワクチンは手に入らないと言われました。コロナ禍であった事も関係していますが、入る見込みが全くないと言われ、他のアジュバントが入っている不活化ワクチンを打ちました。正直この点悩みました。現時点では元気にしていますが、今後も元気でいてくれることを願うばかりです。

4. 抗体検査

動物検疫所ウェブサイトにどこで検査を受けたら良いのか、というのは出ていますがどこでどうやってお願いすれば良いのか、というのは当然ながら個々に異なるので記載されていません。

今までこういった手続きをしたことがなかったので、例えば指定の検査機関へ直接私がお願いする必要があるのか、そうではなく郵送なのかと言うようなことも全くわかりませんでしたがこちらも同じくある獣医師の先生に助けていただきました。

EU圏内であればその他の国の検査機関での検査も認められるとのこと。ポーランド国立獣医学会 ウイルス課 National Veterinary Research Instituteが指定されていますが、そこではなくドイツの指定機関にお願いすればいいとのこと。

またどうやって検査をお願いするかですが、採血した血をそのまま送ってくれる配送業者はおらず(と思われる)、また冷蔵状態である必要がありますのでこれも獣医師さんを通してお願いします。

https://vetlab.pl その際にこのポーランドの検査会社がドイツギーセンの指定検査機関へ送ってくれるとのことです。そのためEUペットパスポートが発行できる獣医師さん、かつこのVetlabと契約をしている獣医師さんということで探しました。

余談ですがワルシャワ内で散歩などウロウロしている時、Vetlabの車をたまに見かけていたので結構大きな所なのかもです。

抗体検査についてまとめますと

  • EUペットパスポートを発行してもらい

  • 狂犬病予防注射を2度接種した後に同じ獣医師さんに採血してもらい

  • それを獣医さんを通じてVetlabという検査会社を通じてドイツの検査機関に送ってもらい

  • 抗体検査をしてもらう、書類を受け取る

ということです。

5. 事前届出

上記4までの工程が終わる以前に日本の動物検疫所の方には何度も質問やフォームに記入してその内容で問題ないかなどやり取りをして頂きました。この工程はどの地域からでも変わりないため詳細は省きますが、私の場合にはNACCSというシステムでオンラインで申請しました。

特にコロナやウクライナ危機のため私達の帰国時も一度予約した飛行機がキャンセルとなってしまい、もし当日に変更になったらどうしようなど要らぬ心配をしていましたが、都度丁寧に検疫所の方に返信頂いて大変助かりました。

6. 航空会社選び、そのルール
乗る飛行機を選ぶ

ヨーロッパの航空会社はキャリーケースに入れていれば比較的客室内で一緒に飛行機に乗れる場合が多いように思いますが、航空会社毎にルールが異なります。また乗り継ぎが発生する場合にはそれも考慮しなければならないので、直行便が利用可能ならば一番楽だと思います。

私達の場合には、LOTポーランド航空ワルシャワー成田便があったのでこちらを選びました。

www.lot.com

ポーランド語であれば別かもですがLOTは英語であっても連絡すると大概待たされることが多いので毎度東京のLOTに電話して日本語で対応お願いしていました。

ペットを乗せたい場合、一便につき何匹というような決まりがあるのでまず予約前にカスタマーサポートへ連絡をして、予約しても問題ないか聞き、その後予約しました。またクラスごと(エコノミー、プレミアムエコノミー、ビジネス)にもそれぞれのクラスで何匹までというような決まりがあり、ビジネスは1匹、プレミアムエコノミーは1匹、エコノミーはエリアごとに2だったか3だったか忘れてしまいましたがそういったルールがあるので、仮にビジネスクラスに夫婦で乗っても2匹の猫とは一緒に帰れません。

そのため帰国前後で絶対疲れているから奮発して二人共ビジネスクラスで、と思っていた私達の夢は叶わず、結局夫ビジネスクラスで猫1匹、私プレミアムエコノミーで猫1匹という予約をしました。プレミアムエコノミーは座席の下のサイズが小さい所は座席指定出来ないようで勝手に席が指定されていました。そのため窓側の席になっており、通路側には予約変更ができませんでした。

ただ当日離陸後しばらくしてからアテンダントの方に席を移動しても大丈夫か聞いた所、問題ないとのことだったので空いている通路側の席に移動しました。(この便は幸いにも満席ではなかったので可能でした)

もし隣同士に座れるならエコノミーで、と思ったのですが結局エコノミークラスであっても猫2匹は隣同士では座れないと言われました。ただこのルールは日本語で問い合わせした時にはそういったルールは分からないが、ワルシャワで言われたならばそうであろう、と言われました。ただLOTに限らずですが聞く人によってルール(回答)が変わったりするので予約前に確認は必須です。

キャリーケース

www.lot.com

こちらのウェブサイトに出ていますがLOTの定めるキャリーケースのサイズはこちら

コンテナとバッグの許容寸法:

B787およびB737機の場合:55/40/20cm*

もしくは DH4、E70、E75、E95機の場合:45/30/20cm
長さ/幅/高さ

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、正直高さが20cmなんて低すぎるのですよね。なのでリアリティがないのですが、結果として私個人の場合ですがこれを超えたサイズで猫を連れて行きましたが、ワルシャワの空港では一切サイズも重さも測られることはありませんでした。一応心配になってLOT航空英語カスタマーサポートに電話で聞いた時もサイズは大して問題にしないというような回答でした。

ハードケースだと勿論座席下に入らないと困ると思いますが、私はソフトキャリーで枠だけ硬めになっているものをネットで購入しました。そのサイズは41 cm x 28 cm x 28 cmでした。

飛行中は音が凄いのもあり、ビビりまくって全く声一つ出さずにいましたが、気休めでブランケットを上からかけておきました。

7. 出国前検査

ペットを出国させる場合、輸出国の証明書が必要です。そのため獣医さん及びその国の獣医局(またはそれと同様の機関)から証明書をもらう必要があります。

まず獣医局とは?という所から分からなかった私ですが獣医局については在ポーランド日本大使館の犬、猫の日本への入国(検疫制度のご案内)のページに記載があります。

ポーランド内各獣医局の連絡先

ワルシャワについてはこの記事を書いている現在で

Powiatowy Inspektorat Weterynarii w Warszawie 00-753 Warszawa ul. Gagarina 15 tel. 022-841 13 19 piwwawa@poczta.wp.pl です。

外観は普通のアパートですが、1階にドアがあってそこが獣医局です。

出国前検査ですが出国の48時間前以内である必要があるため、仮に帰国日が月曜日なんかだと時間がうまく調整出来ない(獣医局は平日のみ)ため、平日火曜から日曜に出発した方が良いと思われます。

また獣医局に行く前に予約が必要です。

私は自分で何度か電話してみたのですがまず当たり前ですがアナウンスが全部ポーランド語、そしてとりあえずなんとかアナウンスに従って番号押して、待っていても誰も出ないで切れるという事が数度。再度かけ直して、誰か出て英語で説明して、担当にまわしますと言われても担当の人が英語無理と言う、ということでTwitterで知っていた日本人の方に通訳依頼して電話予約して貰いました。

なお、獣医局で貰う書類の他に、航空会社側で規定する必要書類がある場合があります。LOTポーランド航空の場合にも

目的地および中継地の規定を満たす出発前48時間以内に発行された獣医による健康状態証明書(臨床検査、駆虫、ダニ駆除)

この書類が必要でした。そのため獣医局に行く前にまず獣医師に健康診断をして貰って、その結果を持って獣医局に行かなければなりませんが、航空会社によっては上記の通り48時間以内に発行された健康証明書が必要のため、ここでもタイミングを確認することが必要です。

この健康診断をしてもらう先生がどの先生であるべきなのかもわかっておらず、こちらも獣医の先生に伺った所、毎度獣医局に伺いを立てて、その結果としては自分が執り行っているということでした。国毎に勿論異なるかもしれませんが、ポーランドは結果的にはこれに特化した獣医師さんや獣医局指定の先生はいらっしゃらないようでした。

事前に獣医師さんに書類(Form AC)に記入して貰い、それを持って予約日に獣医局に行きました。獣医局は思っていたよりもドアがかなり小さく、更に他に待っている人がいたのでその方達が終わってからと思って待っていましたが、スタッフの方が私の見た目から予約した日本人だとわかったようで、中に呼ばれました。

その後はラッキーにも英語で対応して貰え、お金を払い、証明書を貰いました。ただここでも一つ小さな問題が。なぜなのか分かりませんがマイクロチップに関連して登録されていたにゃんこ達の誕生日がマイクロチップを入れた日より随分前に指定してあり、更にうちに来て獣医さんに見立てて貰った月数、また保護団体から言われていた月数共全く合わない状況でした。

と言っても、正直もうどうしようもなく、更に捨て猫だったので正直誕生日を正確に知っている人はいないと思われ、獣医局の方に何か問題があってもこちらは責任を取れませんよ、と言われましたが幸いにもこの点は問題なく帰国出来ました。

8. 帰国当日、空港、機内

当日の朝、猫には事前に獣医さんに貰っていたVetExpertという会社のKalmVetという見た目がウ○コのような天然の素材から出来ているサプリ?薬?のような物をあげました。黒猫は毎度ながらあげると自ら進んで舐めてくれましたが、白猫はビビって逃げてしまい。そのため私の指にこれを塗っておき、白猫の後ろからこっそり近づき、顔にこれを塗りたくって、彼が舐めてキレイにするしかない状態にしました。無事成功しました。

vetexpert.eu


www.youtube.com

その後、2匹ともちょっと酔っ払った感じになり、特にピリピリしがちな白猫は私達が荷物を移動したりし始めても(いつもだとすぐ隠れる)遊んでたりしたので、神経質な猫の場合には、獣医師さんと相談の上こういった選択肢もありかもです。

時間より随分前に空港に行きましたがチェックインでは特に問題もなく、書類も問題なく一安心でした。猫たちの重さやキャリーのサイズも特にチェックされませんでした。

が、チケットを貰って、その後セキュリティチェックを通る際に「猫をキャリーケースから出して」と言われました。

そのためビビリな猫の場合には洗濯ネット等に入れておいた方が良いと思われます。うちもかなりビビリのため、白猫をキャリーケースから出すのにかなり手こずりました。更に出してからはビビって逃げちゃうのではと思って気が気ではありませんでした。

ちなみにかなり時間がかかるかもと思い、当日は3時間以上前に空港に行っていましたが時間はかからず。LOTのラウンジの奥の方の部屋でキャリーケースの上から洋服をかけて暗くして、静かに時間まで待ちました。

LOT航空のラウンジはペットも入室可です。 www.lot.com

機内では基本的に猫をキャリーケースから出してはいけませんが、トイレに連れていき何度か様子を見ました。猫砂も念の為持って行きましたが、彼らはビビリまくっていて猫砂どころかキャリーケースから出てこず、食べることも飲むこともしませんでした。

後から考えると半強制的にお水だけでもスポイトを持っていってあげたら良かったかなと思いました。

またこの国際線の後、私達の場合成田から羽田に移動し、そして羽田から国内線に乗らなければなりませんでした。成田−羽田間は猫と一緒でなければもう二度と乗らないであろうタクシーで移動しました。公共交通機関だと大きな音や人が多数いることで国際線で疲れ切っている上に更にいらぬストレスをかけたくないという気持ちからでした。

ただ、国際線よりタクシーより、この後の国内線が貨物室であったからかもしれませんが、千歳空港へ到着後ひどく怯えていて本当に申し訳なかったです。

羽田−千歳間はJALにて、大きなペットクレートに2匹一緒に入れて貰って、その場合だと1つのクレート代だけで良くその点は助かったのですが、私達と離れて、更に貨物室で移動だったので心配でした。

次回、万が一引っ越し等ある場合には時間がかかっても本州まで電車、新幹線等で行けるだけ行こうと思います。客室内でもかなり怯えていましたが、貨物室から出てきて千歳空港に到着して受け渡しして貰う時のペットクレートに入っていたにゃんこ達のひどい怯え方がほんとに見ててしんどかったです。本猫達は更にしんどかったと思いますが。にゃんこたち、ごめんね。

まとめ

最後になりますが感謝を申し上げたいのがポーランドブロツワフで獣医師をされておられる神澤先生です。ネットで検索しても、全く情報が見つからず急にご連絡申し上げたにも関わらず快く回答いただきました。ブルツワフ(Wrocław)にお住まいの方は日本語で診て貰えるとは羨ましすぎます。

また近所の獣医さんも何度もメールで質問に回答してくれるとても良い先生で大変助かりました。

最後にポーランドで撮った写真をいくつか。3年と短い間で、更にコロナ禍でほとんどの期間旅行できないという変わった状況でした。それでもちょこちょこポーランド内を旅行したり、アイスランドにもう一度、最後にはノルウェーに行ったり出来ました。

私はアジア圏にしか住んだことがなかったので、ヨーロッパに住む、マイノリティである事を経験するという体験が出来た事も良かったなと思います。