日本は中国に完敗しているのか?北京在住者一個人の視点から答えてみる

日本は中国に完敗しているという記事

ちょっと乗り遅れてますが年末旅行中、Wechat上でフォローしている中国人向けに日本に関する内容を発信をしているアカウントでこの記事を見かけて、私も読んでみました。

ちなみに、中国の方のコメントは大部分が日本は中国に完敗はしていないと思うという内容でした。ただ日本に関するアカウントをフォローしているので日本に興味がある人達だと思いますが。

gendai.ismedia.jp

ブックマークが1,300以上とはかなりの反響があったようです。

そしてそれに対するこちらの記事も。↓の皆さんと私はドンピシャな年代です。ワタクシ、オバサンです。

bunshun.jp

どんなところが完敗?

日本が中国に完敗したとしている記事内では大まかにこんな事が書いてありました。

  • スマホ決済が普及していて、小さなお店でも利用可能
  • シェア自転車があちこちにあってどこでも乗り捨て出来る
  • 若い労働力に溢れている
  • 英語より中国語を習うべき
  • 中国の若者は国に希望を抱いている
  • タクシーは飛ばすけど危ない運転ではなかった

などなど。

深センには個人的に行った事がないのですが中国の首都北京に住んでいて、上海その他大きな都市にもぼちぼち行った事があるのでそんな私の視点でこれらについて考えてみました。

本当に完敗しているんでしょうか?

 

 

 

 

まず私の個人的意見ですが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本は中国に完敗してはいませーん

確かに中国は国土も大きく、人口も13億と日本とは桁違い。国内総生産も2010年に中国は日本を抜いています。 

www.nikkei.com 2011年の記事

けれども、一人あたりにすると以下のように2016年時点でも4倍以上差があります。

実際に住んでみて感じる中国

確かに中国都市部の暮らしはとても便利になっています。

特にお金を持っている人にとっては例えば10年前と比べたら住みやすさが格段に向上していると思います。けれどもお金がない人にとっては中国は日本よりも住みづらい場所になっていると思います。

www.dekoboko-world.com

物価についてこちらで書きましたが、北京の家賃は毎年高騰していて今や都心では2,000元(今のレートで3万円4千円程)ではワンルームのアパートを探すことも難しいです。 

初任給が平均8万円なのでその約半分を出したとしてもアパートが借りられないという状況です。

jp.reuters.com

日本の初任給は20万円前後ですが、その半分、10万円家賃につぎ込んでもワンルームのアパートが借りられない。

そんな状況です。これだけ見ても、庶民にとって住みやすい場所ではなくなってしまっている事の片鱗が垣間見えると思います。

中国では日本で言う四畳半風呂なし、よりも狭い場所に住んでいる人がたくさんいます。

www.cnn.co.jp

 その一方である報告では北京はニューヨークよりもお金持ちが多い都市になったとのこと。

www.sankei.com

記事内に書いてあった内容に一つずつ私の視点から答えてみる

長くなっちゃうのでなるべく短めにまとめてみます。

  • スマホ決済が普及していて、小さなお店でも利用可能

確かに。ほぼほぼ全てのお店でスマホ決済が出来てスマホがあれば、財布を持たずに外出しても全く問題なしです。

ただ、ここにも問題があります。現金での支払いを拒否されることがあるんですよね。。。

ここ半年程で私は二度ほどありました。

一度目は観光地である天安門の目の前のドリンクスタンドで13元の飲み物を買う際に、20元を差し出した時。お釣りが全くないのでスマホ決済してくださいと言われました。

二度目は韓国料理のレストランにて。今ちょっとレジの鍵が見つからないので現金払いができませんと言われて、スマホ決済のみと言われました。

在住してる私は良いんですが、中国以外から来る観光客に対しては、これどうなんでしょうか。またスマホの電源切れちゃったらどうなるのかな。

  • シェア自転車があちこちにあってどこでも乗り捨て出来る

確かに利用している人も多いし、地下鉄や電車が東京ほど網羅されていない北京では便利です。しかし、大量に放置されている自転車は歩く際に本当に邪魔です。

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歩道を自転車が占拠していて歩いてすれ違えなくなっています。

こういった状況から今は電動自転車に荷台を付けた乗り物でおじさんがこれを整理したり、別の場所に移動させたりしています。でも駅やバス停等人の集まる場所にはどうしても自転車も集まってしまうので悪循環。

  • 若い労働力に溢れている

人口が多いので若い労働力に溢れているように表向きは見えるかもしれません。

ただ有名な話ですが、中国は一人っ子政策を推し進めていた影響により、今後急速な高齢化が進むことが予想されています。 

2016年一人っ子政策については撤廃されたものの、今時の若い人は子どもを多数持つのではなく、一人のみ持ってその子にお金や愛を注ぐという傾向にあるようで高齢化問題を解決出来るような出生率とはなっていません。

また一人っ子政策の影響から男女比が異常な数値となっており、余ってしまう男性が多くなっています。そのため結婚出来ない男性が増えています。

www.sankei.com

2016年末の人口13億8271万人のうち、男性は7億815万人、女性は6億7456万人。

 

3300万人余り男性が多くなっており、人口全体の男女比(女性を100とした場合の男性)は104・98だった。

 

女児を100とした場合の男児の数を示す出生比率は通常103~107とされるが、中国では一人っ子政策実施後に上昇し、2007年には120・22に達した。

 

その後は徐々に低下したが、まだまだ高い状況は変わらず、2015年は113・51。

ちなみに日本は、その差は2016年時点で400万程で女性が多い統計です。女性の方が寿命が長いので女性が多くなる傾向にあるからだと思われます。

統計局ホームページ/人口推計/人口推計(平成28年10月1日現在)‐全国:年齢(各歳),男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級),男女別人口‐

  • 英語より中国語を習うべき

母語話者だけで考えると、現在中国語が英語よりも話者数が多い言語です。 

ただ中国では高等教育を受けている人は大概学校で英語も勉強しており、英語で何かしらのコミュニケーションを取れる場合も多いです。

上海や北京などの大都市ではニーハオ、謝謝程度のみの中国語で何年も暮らしている英語話者の友人や知り合いが多数います。

また2024年にはインドが中国の人口を追い抜くとされており、その点から見ても中国語が世界の標準語として採用されることはないとは思われます。

個人的には漢字の習得を大人になってからするのもちょっと大変だと思いますね。

www.sankeibiz.jp

  • 中国の若者は国に希望を抱いている

これは人に寄るかもしれませんが、確かに経済成長が続く中国では起業したい、成功したいと熱意と夢を持っている人も多いとは思います。 

ただ、同時に急な成長を遂げた社会では様々な歪も問題となっています。こんな状況で全ての若者が希望を抱いているかは未知数ですね。。。

news.livedoor.com

この問題、一度きりの内容ではなく、忘れた頃にまた新しい事件についてネットに上がっています。

交通マナーが良くないので事故自体は私も結構な確率で目にしますが、過去に同じような事が起こった事件で助けた人がその責任を問われる事になってから、多くの人は見てみぬふりをしてしまうようになっているようです。

子どもが轢かれていても誰も声もかけず、助けもせず。でもこれは激動の歴史を歩んできた中国の社会全体に問題の原因があるようにも思えます。

www.cnn.co.jp

農村で親が働きに出てしまい、自宅で親なしで留守番をする児童についても問題となっています。

通常は祖父母が一緒に暮らしていますが、子どもが自殺をしてしまうケースや、家出をして親に会いに行こうとするケース等こちらも定期的にニュースに上がります。

www.excite.co.jp

中国の病院では、前金をまず支払わないと診療さえして貰えないんです。また都度診療代、薬代も別々に支払いが必要です。お金がないとまず診療もしてもらえないという状態です。

世界の医療事情 中国(広州市) | 外務省

中国の病院では,最初に窓口で支払いをしてからでないと受付が始まりません。

救急車で運ばれても同様で,本当に生きるか死ぬかと言った状況でなければ,先にお金の支払いを求められます。また,支払いは,受付時だけでなく,医師の指名料,カルテ作成料,薬代等々,色々な場所に並んで,それぞれの支払いを済ませないと前に進めません。

救急車も同様で,120に電話して救急車を呼びますが,前払いで,救急車の設備,医療関係者の同乗などで金額が変わってきます。救急車の最低料金は121元となっていますが,数倍から数十倍の金額となり,金額の交渉が遅れると救急車も来てくれません。

  • タクシーは飛ばすけど危ない運転ではなかった

危ないですよ。。。シートベルトもない/使用出来ないことも多いです。

ヒヤッとする事は結構ありますし、友人で事故にあった人もいます。日本のタクシーでは考えられない運転です。歩道も緊急用道路もガツガツ進んじゃいます。

歩行者は中国ではかなり立場が弱くて、道を渡る都度ヒヤヒヤします。

まとめ 

中国に在住している人であれば、全般的に見て中国が日本よりも住みやすく、快適な国であるかどうかという事は皆明確に答えが分かっていると思います。 

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道端に急に開いている穴。ゴミが捨てられまくっている。

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車が衝突して倒れてしまった街灯。一ヶ月以上もこのまま放置されてます。 

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ランダムに歩道に穴が開いてます。マンホールの蓋がなくなったのか、元々付けられてないのか。 

これら3枚はいずれもうちの近所の300M圏内の様子です。

このような様子はうちの近所だけではなく、様々な場所で見かけられます。また車の走る道路に穴が開いていることもあるので、うかうかしていると大変な怪我を負うことに。

人それぞれ、色々な観点があるかとは思いますが、日常の生活のしやすさでは中国はやはりまだ成長途中であると思います。

それも含め、日本が中国に完敗してるか?と言われたらやっぱり完敗はしてない、と答えると思います。

でもでも、かといって、中国に全く良い点がないという事ではないですよ!

日本よりも中国の方が楽だなーと思う点もあります。経済成長率という点や人口、国土の広さ等など日本が負けている点も確かにあります。

ただ中国はお金がないと、日本よりも住みづらい場所になってしまっているかなという印象です。 

www.dekoboko-world.com

という事で、私の個人的観点では日本は中国に完敗はしていない、という結論です。

日本も問題は多くありますが、やはり国としてはお金持ちだけではなく、その他多数の一般庶民が暮らしやすい国が良い国だと私は思います。

中国は本当に成長、変化が早いのでこれからどんな風に変わっていくのかな、と思う今日この頃です。